今回はターゼン(セラペプターゼ)の口臭軽減効果を検証しました。
セラペプターゼとは?
セラペプターゼは武田薬品が販売していた消炎酵素製剤「ターゼン」の主成分です。

消炎作用があるタンパク質分解酵素
このセラペプターゼはタンパク質分解酵素の一種で、気管支炎(喘息)や副鼻腔炎の痰切り、手術後や外傷後の腫脹の緩解、の治療薬として主に処方されていました。
50年くらい前に発売され、以降、ずっと使われ続けてきたものです。
効果が認められず自主回収
しかし、10年くらい前に厚生労働省より「医療現場の使用実態に即した有効性の検証」を求められます。
つまり、もう1度ちゃんと効果があるのかデータ、証拠を出せ、ということですね。
武田薬品は当初、この有効性のデータは出せると考えていたようですが、有効性を検証することが困難である、との判断に至りターゼンは自主回収されています。
治験の段階でターゼンはプラシボ(偽薬)との有益な違いを見出だせなかったのでしょう。
つまり、医薬品としての効果は無いと判断された訳です。
こうして、日本ではセラペプターゼ(ターゼン)は姿を消しました。
セラペプターゼは本当に効果が無いのか?
当方ではこのセラペプターゼに再度注目し、このセラペプターゼが副鼻腔炎や上咽頭炎の消炎、排膿に効果があるのか、それにともなう口臭抑制に効果があるかどうかを検証しました。
そもそも、このセラペプターゼに注目したのは、i-herbのレビュー、評価で様々な消炎効果が報告されているためです。
その中に鼻詰まりの解消や副鼻腔炎の改善、扁桃炎の改善等も含まれていました。
レビューを鵜呑みにすることは出来ませんが、セラペプターゼの消炎効果については非常に数も多く、様々な商品を総合的に自社で取り扱っているi-herbでは所謂さくら、やらせのレビューは多くはないため、検証する価値があると判断しました。
ターゼンが効果の無かった理由
まずは、日本で販売が中止になったターゼンについて考えてみます。
ターゼンは竹田薬品で50年くらい前に発売された際には、消炎効果が認められており、副鼻腔炎にも効果があるとされている記録が残っています。
しかし、10年くらい前の研究ではプラシーボ(偽薬)とターゼンの間に効果の差は認められない、と判断されました。
これはこの数十年の間に治験や試験の正確性、公平性がより求められるようになったためなのでは?と思います。
簡単に言うと、効果の捏造や改ざんのようなズルができなくなったということです。
じゃあ、やっぱり効果無いんじゃん!と思いますね?
そこで、まずターゼンの服用方法についてチェックしてみます。
ターゼンの服用法
10mg(20000セラペプターゼ)を1日3回食後に飲む
10mgで20000セラペプターゼなので3回で合計で60000セラペプターゼですね。
これを食後に摂取する、というのがターゼンの服用方法です。
この用量、服用方法に問題は無かったのかを考えてみたいと思います。
海外のセラペプターゼで考察
ターゼンと海外のセラペプターゼの服用方法との違いをみてみましょう。
場合によって数回まで服用を増やすことが出来る
海外のセラペプターゼは基本は1日あたり12万セラペプターゼを目安としています。
そして、必ず空腹時に飲むことが推奨されています。
Enzymedica社のセラペプターゼは適時、増量も認められています。
以上のことよりターゼンが効果を認められなかった理由は
食後に摂取していた
量が足りなかった
この2つが考えられます。
つまり、セラペプターゼの効果をチェックするには
空腹時に摂取する
摂取する量を増やす
この2つが不可欠になると考えられます。
セラペプターゼを実際に服用
今回も数人での検証です。
セラペプターゼの中では最も安価なLake Avenue Nutritionのものを使います。

こちらのセラペプターゼは1粒あたり120000セラペプターゼ入っています。
ターゼンは1粒5mgで10000セラペプターゼなので1錠あたりだと12倍になりますね。

効果をハッキリさせるため、1日3粒(合計360000セラペプターゼ)空腹時に摂取するようにしてみます。
尚、何かしらの副作用が出る場合には適時服用をやめる、量を減らす等の判断を各自してもらっています。
これだけの量を摂取して効果がないならセラペプターゼは慢性副鼻腔炎を始めとする炎症を抑制する効果は無いと判断出来るでしょう。
今回は数人の慢性副鼻腔炎(蓄膿)を主原因とする口臭に悩んでいる人に試してもらいました。
検証期間は3ヶ月です。
セラペプターゼを3ヶ月飲んでみた結果
セラペプターゼを飲んでみました。

まず、セラペプターゼの副作用に関してですが、特に何かしらの副作用を訴える人はいませんでした。
セラペプターゼの大量服用による危険性は低いと思います。
もちろん、試行人数が非常に少ないため、安全性が高いとまでは判断出来ませんが、1つの参考にはなるでしょう。
セラペプターゼの効果
炎症に対する効果ですが、初期は効果を感じる人が多かったです。
これはセラペプターゼが消化酵素の一種であることから、投与初期ほど体内で効果的な働きをするためと思われます。
慢性副鼻腔への効果
飲んで30分もすると鼻から膿がドロドロ流れてきてスッキリしました、口臭もかなり軽減しましたという報告もあり効果が認められました。
しかし、1ヶ月を過ぎたあたりから、効果に陰りが見えてきたという報告も増えました。
始めは顕著に膿を排出できていたが、だんだんと膿が出なくなったということのようです。
1回の服用を2粒(240000セラペプターゼ)に増やしたら、膿が出るようになった、という報告もありました。
量を増やせばそれだけ効果が出る可能性が高いようです。(副作用のようなものは感じなかった、とのこと。)
ただ、全体的には中長期的にはある程度の膿排出作用が認められるものの特段大きな効果は見込めない、という結論になっています。
効果には個人差はあるものの、概ねムコダインと同等程度と思われます。
慢性上咽頭炎への効果
慢性上咽頭炎の炎症には特に大きな効果は見られませんでした。
慢性上咽頭炎は炎症の中でも非常に複雑な作用を体全体を通して発生しているためか、あまりセラペプターゼも効果的では無かったようです。
セラペプターゼの総合評価
セラペプターゼは慢性副鼻腔を原因とする口臭に多少の効果が認められる、という評価になりました。
個人差があるものの、ある程度の膿を排出し続ける効果が持続すれば口臭軽減に繋がりますので、慢性副鼻腔(蓄膿症)の口臭で悩んでいる場合には一旦試してみる価値はあると思います。
ただ、セラペプターゼは価格が高いのでそこがネックになります。
よほど体質的に合って効果を感じない限りは特別取り入れる必要は無いと思います。
なお、上咽頭炎型の口臭にはあまり効果がなかったので、試す価値があるのは慢性副鼻腔を起因とする口臭のみになります。