口臭の原因を特定する方法

まず、最も重要なことは口臭の原因を特定することにあります。
そもそもどこに口臭要因があるか分かっていないと何をすれば良いのかが分からないためです。
ここではその原因を特定する方法を解説していきます。

口腔内の問題を徹底的にチェックする

まず口臭を大きく分けると口腔内の問題、体内の問題(主に腸内)の2つに分けることが出来ます。(詳しくはマニュアルを参照下さい。)

チェックが簡単なのは口腔内の問題であり、大抵は口腔内にどこかに問題がありますから、まずは口腔内に問題が無いかをチェックすることが重要です。

体内の問題に関しては確実にチェックする方法が無いため、口内に問題が見つからない場合には体内の問題の可能性を疑う方が効率が良いです。

口腔内の口臭要因チェック方法を順に説明します。
基本的にはこの記事の順番通りにチェックしていきましょう。

唾液の臭いをチェックする

唾液の臭いをまずチェックします。唾液が臭い場合には口腔内に問題がある可能性がかなり高くなります。

唾液チェック方法
手の甲に唾液を付ける。直後の臭い、10秒後の臭い、乾いてからの臭いをチェック。
基本的には10秒後の臭いが最も臭いことが多いです。唾液を付けた直後、乾いてからの臭いが臭い場合には口臭要因が口腔内にある可能性はより高くなります。

舌苔の有無をチェック

舌苔がある場合には口臭要因になっている可能性があります。当然、これも口腔内の問題になります。
舌苔が内蔵の問題により発生しているケースも稀にあるのですが、多くは口腔内に問題がありますので、舌苔=口腔内の問題とまずは考えてもらって良いです。

・舌の臭いチェック方法

舌に舌苔があるからといって、必ずしも口臭要因となっているとは限りません。
逆に舌苔が無いから舌が口臭要因では無いとも言えません。そこで、舌の臭いをチェックをします。

舌の臭いチェックにはティッシュやガーゼで舌を拭う方法が有効です。

舌全体、特に舌の奥や舌苔が厚く付着している部位をティッシュやガーゼで拭います。
拭った部分の臭いをチェックします。時間をおかずにすぐに臭いをチェックしてもらって大丈夫です。
生臭い等、何かしら臭いが強い場合には口臭要因の可能性が高くなります。

歯間のチェック

歯と歯の間の臭いをチェックします。フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間を掃除します。この際に1箇所ごとに臭いをチェックしましょう。特に臭いの強い部位があれば、その部位は口臭要因となっている可能性があります。

扁桃のチェック

次に扁桃のチェックをします。
扁桃は口腔内の左右に位置しています。
人によって大きさは違いますが、扁桃全体を指でなぞって臭いが無いかをチェックしてみて下さい。

上咽頭のチェック

次に上咽頭をチェックします。上咽頭は口腔内の問題で口臭要因になりやすい部位ですので、重点的にチェックしていきます。
口臭に悩んでいる人、口臭が強い人はこの部位に問題があるケースは多いです。

その要因はこの部位に炎症がある場合には、非常に粘度の高い膿が細胞内に滞留してしまうため、です。

ニンニクや玉ねぎのような体内から入って口臭になり得る臭いだけでなく、醤油やチーズ等の乳製品、臭いの強い食べ物や調味料全般で強い口臭になるという場合には上咽頭に原因がある可能性が高いです。

上咽頭はより細部化して、それぞれをしっかりとチェックする必要があります。

上咽頭チェックのポイント

上咽頭は表面ではなく、その内側に膿が滞留している可能性があります。そのため、この部位に関しては軽く触るのではなく、しっかりと擦るようにして下さい。

軽く触るだけでは臭いもせず、膿も出てこない可能性があります。
上咽頭に問題があるのか無いのかをしっかり判断するためにも、必ずしっかりと擦ってチェックするようにしましょう。

擦った際に上咽頭が風邪をひいた時のように痛む、濃い膿汁が出る、という場合には慢性的な上咽頭炎になっており、臭いの原因となっている可能性は高いです。
それでは上咽頭をチェックしましょう。前方、後方、上方(鼻腔部位、耳管部位、上方外側)の5つの部位をチェックします。

上咽頭の前方を擦る


上咽頭の前方というのはここでは喉ちんこの裏側を指します。この部位は炎症を起こしやすい部位ですが比較的触りやすいこともあり治療もしやすい部位です。
チェックする際にあまり強く擦りすぎると酷く炎症する可能性がありますので、様子を見ながら指で擦り臭いが無いか、粘ついた膿が出てこないかチェックしましょう。

上咽頭の後方を擦る


上咽頭の後方はここでは喉側の部位を指します。
ここも指で触りやすい部位です。

上咽頭の上方を擦る

指で擦りにくい上により口臭要因となりやすい部位です。
この部位は複雑なため、さらに3つの部位に分割します。

鼻腔との繋がる部位を擦る

1つ目は鼻と繋がっている部位です。この穴は鼻と繋がっていますので当然、2つあります。この部位は炎症も起こりやすく口臭要因になりやすいです。
位置的には上咽頭の最も上になります。鼻腔と繋がる穴は指が入るほどに大きいのですぐに分かるでしょう。

指を滑り込ませると鼻の奥を触ることも出来ます。鼻の奥は上咽頭炎の炎症の広がりにより連動して炎症している可能性が高いため、可能ならば鼻の奥も指で触ってチェックして下さい。(鼻の奥まで指を入れるとスペースはあまり無いのでこの部位を擦るのは困難です。可能な限り、指を動かす等して膿が出ないかチェックすれば結構です。)

少し構造的に入り組んでいる部分もありますが、丁寧に満遍なくチェックするようにして下さい。人によって反応点が違い、鼻腔部分でもピンポイントである一部分だけ大きく炎症しているケースもあります。

耳管との繋がる部位を擦る

次に鼻との繋がる穴の隣にある耳管と繋がる穴をチェックしましょう。この部位は最も厄介な部位です。
上咽頭炎による炎症の連鎖を受けやすい部位のため、非常に濃度の高い膿汁が滞留しやすい部位で大きな口臭要因になるにも関わらず、実質的には外から治療する方法がない部位だから、です。

先程の鼻の穴部分も同様に口臭要因になりやすい部位ではありますが、鼻の奥は指によって喉側からもアプローチが出来ますし、鼻側から綿棒やルーツェ氏によるアプローチも可能です。

しかし、耳管に関しては穴も非常に狭いため、喉側からは指も入らない上に耳の構造上の問題により、耳側からのアプローチも出来ません。
中耳に膿が溜まっているならば中耳炎ですが、大抵のケースでは耳管に濃い膿汁が滞留しているので耳鼻科での治療対象ではありません。(CTスキャンで見れるような大量な膿を格納している訳では無い、ということ。)

耳のケアにて馬油を耳に塗ることを推奨していますが、これは馬油ならば液体のため耳管まで到達し得るから、です。(擦ったりの直接的なアプローチは出来ないので、効果は限定的ではあります。)
しかし、耳管自体は内耳という部位にあり、鼓膜よりもさらに内側に位置しています。この部位に綿棒やルーツェ氏を届かせることは出来ません。
(耳で届くのは外耳という耳の外側のみです。耳かきで奥の方を探りすぎて、痛みを感じるという体験をしたことがある方も多いと思いますが、これも部位的には外耳になります。)

耳管へのアプローチとしては、喉にある耳管と繋がる穴の入り口付近を指で擦ることが唯一の方法となります。
耳管の穴は鼻腔の穴の外側にそれぞれあります。非常に小さい穴なので見落としがちになるので注意して下さい。
この耳管の穴を指で擦ります。耳管の穴の入り口付近は指によって触ることが出来ますので、その部位を重点的に擦っていきます。

この耳管の穴の外側には軟骨が出っ張っているため非常に擦りにくい部位になっていますので、注意深くゆっくり擦るようにしましょう。

耳管に問題がある場合には、耳管の穴の入り口部分を擦るだけで非常に濃い膿汁が出てきます。

軟骨の外側を擦る

上咽頭の上部、具体的には耳管の外側には軟骨があります。その軟骨の外側は指がちょうど入るようなポケットのような空間が出来ています。この最上部の左右の奥にあたる上咽頭部位を擦ります。部位的には上咽頭の最奥の左右です。
この部位は擦りにくいことは無いのですが、部位的に忘れやすいので忘れずにしっかりとチェックするようにしましょう。

鼻のチェック

最後に鼻をチェックします。鼻は指が入らないため、ルーツェ氏を使うかハクジウ綿棒を使います。

鼻の奥、喉との繋がり部位は上咽頭のチェックの際にチェックをしているので、ここでは副鼻腔との繋がり部位付近、つまり上咽頭からは届かない鼻の中部をチェックします。

指ではなく綿棒を使っていますので、細かなチェックは出来ませんが、棒の刺激により炎症があれば膿汁は出てきますのでそれを1つの判断基準にします。
綿棒やルーツェ氏を動かして刺激を与えることで膿汁が出てくるか、また臭いはどうかをチェックします。

どの部位が臭ったかをチェック

これまで、唾液、歯間、舌、扁桃、上咽頭の5箇所、鼻と口腔内の全体をチェックしました。

この中で臭った部分が口臭原因の可能性が高いということになります。

ここで問題になるのは複数の部位が臭ってしまうことが多いということです。
この場合にはどの部位が臭いの根源なのかを探らなければなりませんが、基本は上にある方が根源だと思ってもらって良いです。

上咽頭に炎症が起こっていると、扁桃や舌にも膿汁は流れていきますし、膿汁として流れていっている自覚はなかったとしても細菌自体は繁殖し移動していきます。

ですので、最も口腔内で上部に位置する上咽頭に問題があると、それが全体に波及する可能性というのは極めて高くなります。

基本的に臭いの原因を疑う場合には、

上咽頭

扁桃

歯や歯茎

という順番に疑うようにすると良いと思います。

唾液が単体で臭うということはあり得ません。唾液自体は本来、ほぼ無味無臭ですので、唾液が臭っているのは確実にどこか別の部位に炎症が起こっており細菌が繁殖している結果であると考えるべきです。

もちろんドライマウスの場合には唾液も少なくなり、より細菌が繁殖する可能性は高くなります。
しかし、仮にドライマウスだとしても唾液自体が口臭原因な訳では無くて、上記の口腔内のどこかに細菌を繁殖させる原因が必ずあり、唾液が少ないためにその細菌がより繁殖しやすくなっているだけ、と言えます。

ですので、ドライマウスだろうとそうでなかろうと、まずは口腔内のどこ部位に臭いの根源があるのか、ということは必ずチェックして下さい。

一度では見つからない可能性が高い

この臭いのチェックは口腔内クリーニングと部位は一緒です。
しかし、多くの人は簡単には口臭原因を見つけることが出来ません。
鼻や上咽頭、扁桃あたりはとても複雑な構造をしていて、ピンポイントに炎症ポイント、患部を見つけることは困難なため、です。

ですので、とにかく確実な口臭要因となっている炎症ポイントが見つかるまで、何度でもチェックをすることをお勧めします。

本丸となる炎症ポイントだけでなく、他の部位も炎症してしまっている可能性が高いですから、例えば扁桃から膿汁が出るから扁桃を口臭原因だと考えていたけれども、実は上咽頭だった、といういことは高確率であり得ます。

また、何となく口腔内のチェックはしたけれども、どこが原因かが分からないので自分の口臭原因は体内にあるのだと思ってしまい、口腔内のチェックを疎かにしてしまうケースもあります。

基本的には多くのケースは口腔内に口臭原因がありますので、まずは口腔内に絶対口臭原因があるのだと思うくらいでちょうど良いです。

唾液も臭わないし、他の部位も何度探っても擦っても臭いも出ない、膿汁も出ないという場合に体内に口臭原因があると考えましょう。

上咽頭は特に注意する

上咽頭は大きな口臭要因であるにも関わらず、指で探ると嘔吐反射も起きやすく、積極的にチェックしない、したくないという人が多いです。

そのため、特に見逃しやすくなるので注意しましょう。

特に口臭要因となりやすいのは耳管部位、鼻腔部位の2箇所です。
ここは別の器官、つまり鼻と耳に繋がっており、膿汁を格納することも出来ます。
鼻腔部位に関しては細胞内に溜まった組織間液(膿)も綿棒で擦ったり、喉側から指を入れることである程度排出させることが可能です。

しかし、耳管部位に関してはこの組織間液を排出させることが出来ないため、やっかいです。
仮に耳管に口臭原因がある場合には、実質、上咽頭の耳管入り口を擦って膿を出してやるしかありません。
直接耳管(じかん)に作用すること(擦る)が出来ないため、膿の排出には非常に時間がかかります。(別にシャレでは無いです。)
上咽頭の中でもこの2箇所と鼻は口臭要因になりやすく注意した方が良い部位です。

口腔内の口臭要因を確実に特定する

色々な部位を探っても、正直、なかなかどこが一番の口臭原因かを特定することは困難です。
大抵は炎症が広がっていて、周りの部位からも膿が出たり臭いが出たりしているため、です。
臭いが強い部位がはっきりと分かればよいのですが、なかなかそう上手くもいきません。

そこで、とりあえず一通り全体をチェックし終わったけど色々な部位が臭ってどこが本命かいまいち分からない場合には、今度は1箇所ずつチェックをしていきます。

これは臭いが気になる際にチェックする箇所を1箇所に限定するという意味です。
基本的にはこのチェックは喉や鼻から実践していくことをお勧めします。

例:毎回、朝の寝起きにチェックする(条件をある程度一緒にするため)
1日目は上咽頭の耳管部位を擦る
これはクリーニングだと思って、長めに擦って下さい。膿が出てくる場合には膿を出し切るくらい時間をかけた方が良いです。
上咽頭の他の部位は触りません。上咽頭の5箇所のうち、1箇所ずつチェックするのがポイントです。
2日目は上咽頭の鼻腔部位、3日目は上咽頭前方、4日目は上咽頭後方、とつづけていって、鼻や扁桃等もそれぞれ調べていきます。

毎回1箇所だけのクリーニング後の口臭の軽減具合をチェックして、口臭が最も軽減されたと感じる部位がその人の口臭本命の部位、ということになります。

一気に全部クリーニングしてしまうと、1箇所ずつの時間がどうしても短くなりますし、どの部位のクリーニングに効果があったのかが分からなくなるので、あえて集中して1箇所だけをクリーニングしてみて、それぞれの口臭の軽減具合をチェックする、ということです。

これで本命の部位が分かれば、そこを重点的にクリーニングすれば良いので効率的です。

ここまで徹底的に口腔内をチェックしても全く唾液は臭わない、上咽頭(鼻の奥も含む)や扁桃、舌を指や捲綿子で擦っても臭わない、膿も出てこない、という場合には口腔内には口臭原因が無い可能性が高くなります。
口腔内に口臭原因が無い場合、自臭症でないのならば体内、つまり肺からの呼吸により臭いが出ているか、逆流性食道炎で直接胃の臭いが出ているかという可能性を考えていくことになります。