オメガ3と前立腺がんの因果関係について

男性のガン発症率の中でも年々増加してきているのが前立腺がんです。
前立腺がんは早期発見出来れば完治が可能と言われていますが、がんにならないに越したことはありません。

当方が重要視しているオメガ3脂肪酸が前立腺がんの発症リスクを上げる、という研究結果が2013年に発表されました。
今回はオメガ3と前立腺がんの関係について考えていきます。

オメガ3と前立腺がんの関係

発端となった研究は以下の研究です。

フレッド・ハッチンソンがん研究センターの研究者らが、オメガ3の血中濃度の高い男性は前立腺がんのリスクが高いという報告を『Journal of the National Cancer Institute』に示しました。

研究では、35,500人の「セレン、ビタミンEがん予防臨床研究」(SELECT)の参加者のうち、834人の前立腺がんと診断された男性と、1,393人の前立腺がんではない男性が調査の対象となりました。

ちなみに、SELECTは、セレンとビタミンEの前立腺がんの予防効果を調査する大規模な臨床研究です。
その結果、オメガ3脂肪酸であるEPA、DHA、DPAの濃度が高いと、悪性度の高い前立腺がんの発症リスクが71%増加しました。

前立腺がん全体では、発症リスクが43%増加しました。
オメガ3脂肪酸の血中濃度は、前立腺ガンの発症リスクが最も低いグループでは3.2%でしたが、最も高いグループでは5.7%でした。

魚油サプリメントを毎日取っている場合、過剰な魚油の摂取につながります。
この報告の共著者のAlan Kristal博士は、「この研究は、栄養補助食品の使用は、有害なことがあることを示しました」と述べています。
さらに、メモリアルスローンケタリングがんセンターの、前立腺癌専門の統計学者Andrew Vickers博士は、「魚油サプリメントは、食事中の魚より、相対的に高い前立腺がんリスクをもたらす可能性があります。
問題は、食品の成分を取り出して錠剤にすることです」と述べています。

簡単にまとめると、前立腺がんにかかっている男性と前立腺がんでは無い男性の血液を調べたら前立腺がん患者のオメガ3血中濃度が高いケースが多かった、ということですね。

この研究の問題点は?

まず、ビタミンEのガン予防に関する研究であり、オメガ3とガンの研究では無い訳です。
そして、この人達がオメガ3のサプリを摂取したのか、したならその期間は?どれだけの量だったのか?
どのような食事、生活習慣をしていたのか?等はここからは全く分かりません。

前立腺がん患者のオメガ3血中濃度が高いことは分かったが、それがなぜか?が分かってないようなのです。
対象者にヒアリングすればすぐに分かりそうなものですが、資料に無いので詳細は不明です。

非常に暴論ですが、予め前立腺ガン患者にだけオメガ3を摂取させていればこの結果になるのは当然な訳です。

オメガ3を大量摂取させて心臓病のリスクが下がるか研究していたら、前立腺ガンを発症する人が出た、のような直接的なものならばオメガ3と前立腺ガン発症の関係性が高いと考えられるのですが、そのような研究結果は現在ありません。

オメガ3はガンのリスクを下げる?

実は、逆に他の研究ではオメガ3は前立腺がんのリスク(他のガンも含め)を低下させるという研究結果もあります。

前立腺ガンの発症率は人種によって異なっており、黒人が群を抜いて高く、次に白人でぐっと下がって黄色人種や日本人となっています。

日本人の発症率は相対的に低い訳ですが、アメリカで生活している日本人の前立腺ガン発症率が高いことから、人種よりも食生活や生活習慣が大きく関わっていると考えられています。

また、近年は食生活も欧米化してきているため、日本人の前立腺ガン発症率も上がってきています。

これらのこともあり、前立腺ガンと深く関わっているのは牛肉等に多く含まれている飽和脂肪酸の過剰摂取と言われています。

逆にオメガ3は前立腺ガンのリスクを低下させると言われてきたのです。
また、2015年の別の研究ではオメガ3によって前立腺がん細胞の成長と拡散が阻止される、という研究も出ています。

つまり、正直、現時点でオメガ3が前立腺ガン発症と因果関係があるのかはハッキリしていない、と私は考えています。

結局どうすればいいのか?

DHAとEPAは皮膚を強くする上でも有益であり、口臭を改善させるために始めはぜひ摂取しておきたい栄養素と考えています。

そして、サプリメントよりも青魚から摂取する方がより安全です。
先程のオメガ3が前立腺ガンのリスクを71%上げると結論付けた研究でもより危険なのは成分が集中しているサプリメントであると主張しています。

魚の場合にはDHAとEPA以外にも様々な栄養素が含まれており、より効率よく安全に体に栄養が吸収されると考えられます。

マニュアルでも勧めている通り出来るだけ青魚からDHAとEPAを摂取しましょう。
青魚や魚自体を食べない日にサプリメントでフィッシュオイルを摂取するようにしましょう。

αリノレン酸は胡桃(くるみ)から摂取することを勧めていますが、これも食品ですのでオイル単体で摂取するよりも安全と考えます。

青魚は前立腺ガンのリスクは無いのか?

以前は日本人の前立腺ガン発症率が極端に低かったとお話しましたが、これは今から40年以上前程のことのようです。

この頃の日本は今のように欧米化された食事ではなく、より伝統的な和食に近い食事であったと思います。

魚を食べる機会も多かったはずで、魚が前立腺ガンのリスクを上げるならば日本人の前立腺ガン発症率が低いのは矛盾になります。

もちろん、決定的な要因とは言えませんが、少なくとも青魚、魚が前立腺ガンのリスクを上げるということは考えにくいでしょう。

そもそもガンのリスクを恐れる必要はない?

マニュアルは食事、サプリメント、呼吸と運動、精神コントロール等、多岐にわたっていますが、全ては血行を良くすること、に繋がります。

食事は抗酸化作用のある野菜や果物を豊富に摂取して、ガンの餌となる糖質の摂取を制限することを勧めています。

運動はガン発症リスクを下げると言われていますし、精神コントロールによりストレスから開放されれば、これも当然、病気の予防になります。

つまり、マニュアルをしっかりと消化していれば口臭は確実に良くなっていくし、ガンやその他の生活習慣病予防にも大きく役に立つということです。

マニュアルの全てを一切無視してフィッシュオイルだけをサプリメントで摂取していたら多少、前立腺ガン発症のリスクが高まるかもしれませんが(これも可能性、程度ですが)、マニュアルを総合的に実践してたらそのようなリスクはほとんど考えるに値しないレベルである、ということです。